ダーティフレーム
別名前景を汚す構図, 前景遮蔽, フォアグラウンド被り
ダーティフレームとは、レンズの一部をあえてピンボケの物体や人物で前景から塞ぐ撮り方のこと。画面に奥行きと質感が生まれ、観客は正面から見せられているのではなく、覗き見しているような感覚を持つ。
何を伝えるか
説明的な描写を避けて親密さを出したいとき、監督はダーティフレームを選ぶ。肩や植物、ドア枠といった遮蔽物が観客と主題の間に立つことで、ただの観察がのぞき見の行為に変わる。フレームの外にも世界が続いていること、カメラが偶然その瞬間に出くわしたこと(仕組まれたものではないこと)を暗示し、素直で開けた構図では出せない不穏さや覗き見の感触を加える。
撮り方
レンズから30〜90cm(12〜36インチ)の位置、つまり最短撮影距離のかなり内側に物体や人物を置いて強くボカし、主題は数メートル奥でピントを合わせたままにする。開放絞り(f1.4〜f2.8程度)にすると前景のボケがさらに強調される。前景の遮蔽物は画面の10〜40%程度を占める程度にし、基本は端に寄せて中央には置かない。現場ではスタッフの肩、吊り下げた照明、植栽、ハンガーラックの衣服などを使い、カメラマンがミリ単位で位置を調整して、遮蔽が仕組まれたものではなく自然に見えるようにする。
使うべき場面
- 後になって「見られていた」と分かるキャラクターを登場させるとき
- 静止した引きの画が単調で作り込みすぎに見えるとき、奥行きを加えたい場合
- ロビーや市場、報道フロアのような人が行き交う空間の生活感を出したいとき
- 何かを覗いているかのように、リビール前の不穏さを積み上げたいとき
混同しやすいテクニック

フレーム内フレームは戸口や窓枠といったはっきりした建築的な境界線で主題をシャープに切り取る手法。ダーティフレームはそれと違い、輪郭のはっきりしないボケた遮蔽物が画面の一部を覆う点が特徴で、明確な枠は持たない。

覗き見ショットはブラインドや植栽越しに固定した視点から覗くという「覗き見」自体をテーマにした構図。ダーティフレームはその感覚を生み出す基礎技法であり、覗き見ショットの中に使われることもあれば、覗きの意味を持たない普通のシーンで使われることもある。
映画での使用例
ゴッドファーザー (1972)
室内シーンの多くがドア枠や人物の肩、吊り照明の向こうから撮られており、構図に重みと立ち聞きしているような感覚を与えている。
トゥモロー・ワールド (2006)
長回しの中でボケた人体や瓦礫が前景を頻繁に横切り、フレームを情報過多な状態に保つことで、混乱を実体のある物理的な空間として体感させている。
プロンプト
前景の遮蔽物(手、ランプ、カーテン、通行人など)を具体的に指定し、それがレンズに近くピントの外にあること、その奥の主題にはピントが合っていることを明記する。強いボケを出したい場合は開放絞りや具体的なレンズを指定し、遮蔽物がフレームのおおよそどの割合を占めるかも書く。遮蔽物を中央に置く、左右対称にするといった指定はフレーム内フレームに見えてしまうので避け、遮蔽物を「シャープに」と指定するのも避ける。
このページの映像を生成した正確なプロンプトです。動きの記述はそのまま残し、被写体と舞台設定を変えてご利用ください。
Dirty frame shot in a 1930s hotel lobby with marble floors and brass fixtures. In the extreme foreground, a bellhop's blurred shoulder and the edge of a potted palm frond fill the left third of the frame, completely out of focus from a wide 50mm aperture. Deep in the background, in sharp focus, a woman in a long coat crosses the lobby toward the front desk, her footsteps unhurried. The camera stays locked off on a tripod, static, letting the crossing figure move while the soft foreground obstruction never shifts. Warm tungsten light glows from wall sconces. No text.
よくある間違い
前景がシャープすぎる
遮蔽物にピントが合っていると、主題と喧嘩してしまい枠として機能しない。絞りをもっと開ける、あるいは物体をレンズにさらに近づけてボケに溶け込ませる。
画面を覆いすぎている
画面の半分以上を遮ると、ダーティフレームではなく単に「見づらいショット」として観客の不満を招く。遮蔽物は隅や端に留め、目が主題を見つけられる余地を残す。
遮蔽物がそこにある理由がない
シーンの中に説明のつかないボケた形が前景にただ置かれていると、意図した構図ではなくミスに見えてしまう。植物、通行人、その場にあって当然な照明機材など、セットに根ざした遮蔽物を選ぶ。
よくある質問
ダーティフレームとは何ですか?
ダーティフレームとは、レンズの前景の一部をピンボケの物体や人物であえて塞いで構成するショットのことで、観客は主題をこの遮蔽物越しに見ることになる。奥行きが生まれ、見せられているのではなく何かを覗き見ているような感覚を作り出す。
なぜ監督は画面の一部をわざと塞ぐのですか?
画面の一部を塞ぐことで視覚的な奥行きが生まれ、セットに生活感や実在感が出るほか、観客と主題との間に微妙な覗き見的な距離が生まれる。これはシーンによって緊張感や親密さを高める効果を持つ。
ダーティフレームには開放絞りが必須ですか?
必須ではないが、開放絞り(おおよそf1.4〜f2.8)にすると前景の遮蔽物が強くボケつつ主題はシャープに残るため、効果を出す最も簡単な方法になる。遮蔽物をレンズにかなり近づければ、絞りが少し狭くても成立する。
AIの動画生成でダーティフレームを再現するにはどうすればいいですか?
レンズに近い具体的な前景物体を指定し、明確に「ピントの外にある」と記述し、その奥の主題にはピントが合っていることを述べ、さらに開放絞りや浅い被写界深度を指定する。Imaginodeでは遮蔽物とその位置(左端、下隅など)を具体的に名指しすることで、曖昧な指示よりも安定した結果が得られる。