ワイプ
別名ワイプ・トランジション, ワイプカット, ラインワイプ
ワイプとは、線や図形、パターンが画面を掃くように横切り、前のショットを押し出しながら次のショットを露出させる編集トランジションのこと。時間の連続性ではなく場所やチャプター、トーンの切り替わりを示す、グラフィックで明確なシーン転換として機能する。
何を伝えるか
カットでは唐突すぎるが、ディゾルブでは柔らかすぎる、そんなときに監督はワイプを選ぶ。ワイプの動きは形式的な演出であることを堂々と主張する、それこそがこの技法の狙いだ。章が切り替わる感覚や、コミック的・連続活劇的なテンポ、あるいは古い映画文法へのノスタルジーを喚起できる。観客が意識的に転換を認識するため、感情の連続性よりも軽快でエピソード的なリズムを求める場面で効果を発揮する。
撮り方
ポストプロダクションでは、編集者が前のショットを動くマスク(線、斜め、アイリス、時計盤状の図形など)でキーイングし、その下から次のショットを露出させる。時間はおよそ0.5秒から1.5秒程度が目安。マスクの境界はハードエッジならグラフィックでレトロな質感になり、数ピクセルの羽根を入れればなめらかな印象になる。方向性も重要で、フレームアウトする被写体と同じ方向にワイプが動けば動機づけられた演出に見え、無関係な方向だと純粋な句読点的効果として読まれる。旧作のオプチカルプリンターによるワイプ(旧シリアル映画など)には粒子感やわずかな揺れがあったが、デジタルのワイプは完全にクリーンで、あえてグレインや微妙なスピードランプを加えることで質感を演出することもある。
使うべき場面
- テンポの速いエピソード的なシーケンス内で、明確なシーンや場所の切り替わりを示すとき
- モンタージュやトレーニングシーンに旧作アドベンチャー映画のようなシリアル感を与えたいとき
- ディゾルブほど強い連続性を出さずに、並行する物語のあいだを飛ぶとき
- 現代的な編集の中に、あえてレトロやコミック的なビートを加えたいとき
混同しやすいテクニック

ディゾルブは二つのショットを不透明度のクロスフェードで融合させ、柔らかく連続した繋がりを暗示する。一方ワイプは、硬いエッジの図形で一方の画像を押し出し、なめらかな融合ではなく明確な区切りを主張する。

アイリスは円形のマスクが開閉する、ワイプの一種の特殊形態である。一般的なワイプはどんな図形、方向、パターンでも取り得るため、アイリスはワイプという系統の一変種と考えるのが妥当だ。
映画での使用例
スター・ウォーズ (1977)
ジョージ・ルーカスはシーン間に無数の線や図形のワイプを使用し、自身が育った連続活劇や黒澤映画への直接的なオマージュとした。
隠し砦の三悪人 (1958)
黒澤明は場所や時間を飛ばす際にワイプを多用し、そのスタイルは後にルーカスがスター・ウォーズで取り入れることになった。
プロンプト
ワイプは抽象的な「効果」ではなく、物理的に動くエッジとして描写すること。図形の種類(縦線、斜め線、円形など)、方向、時間(秒単位)を明記する。一つ目のショットに何が映っているか、二つ目のショットで何が露出するか、そしてそのエッジがフェードせず常にシャープであることをはっきり述べる。「トランジション効果」のような曖昧な言葉だけでは、多くの動画生成AIがディゾルブとして解釈してしまうため、掃くように動く線と、それによって分かれる二つの異なるシーンを具体的に書くこと。
このページの映像を生成した正確なプロンプトです。動きの記述はそのまま残し、被写体と舞台設定を変えてご利用ください。
Wipe transition inside an abandoned train station: the first shot is a static wide view of a rusted platform with broken benches and scattered pigeons, dim gray daylight. A hard vertical line sweeps left to right across the frame at a steady pace over about one second, wiping the empty platform away with no fading. It reveals the second shot: the same station now lit by a shaft of warm light, dust motes drifting, an old clock frozen at the wrong hour on the far wall. The wipe edge stays sharp throughout. No text.
よくある間違い
多用による陳腐化
すべてのシーンの間にワイプを重ねると、演出の選択が単なる癖になり編集がすぐ古臭く見えてしまう。実際にグラフィックな区切りが効果を発揮する場面だけに留めるべき。
アクションと逆方向のワイプ
キャラクターの退場やカメラのパンと逆方向に動くワイプは、動機づけがなく単なる偶然に見えてしまい、図形が本来強調すべき視覚的な論理を崩してしまう。
トーンに合わない長さ
アクションシーンで長く引きずるワイプは動きが鈍く感じられ、逆に静かで瞑想的な場面で速すぎるワイプは、支えるべきムードをむしろ損なってしまう。
よくある質問
映像編集におけるワイプとは何ですか?
ワイプとは、動く線や図形が画面上を移動し、一つのショットを押し出しながら下に次のショットを露出させるトランジションで、シーン間の切り替わりを視覚的かつグラフィックに示す技法です。
ワイプが古風に感じられるのはなぜですか?
ワイプは1930年代から1950年代の連続活劇でよく使われ、その後黒澤明やルーカスによって再び用いられたため、観客はこの硬いエッジの掃くような動きを、現代的なリアリズムよりも古き良きアドベンチャーやパルプ的な物語と結び付けて記憶しています。
ワイプにはどんな図形が使われますか?
代表的なものには、縦や斜めの直線、時計の針のような回転、円形(アイリス)、チェッカーボード、星形などがあり、編集ソフトではマスクの図形と速度を自由に選べます。
AI動画生成ツールでワイプ転換は作れますか?
動くエッジの図形、方向、速度を具体的に記述することで、単に「トランジション」と書くよりも精度の高い結果が得られます。Imaginodeのようなキャンバスでは、二つのショットを別々に生成し、ポストプロダクションでワイプを使って繋ぐことも可能です。